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 「室内環境汚染やシックハウス対談」

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※2020/01/29日現在

新規工事に取り掛かるには1ヶ月程〜2ヶ月程お待ち頂きます。ですが工事内容によってはそれ以上の待ち時間になる場合がありますのでお問い合わせください。

住まい作りの新たな提案     社団法人 日本左官業組合連合会から抜粋


住宅やマンションの建材や内装材に使われている化学物質による「室内環境汚染」や「シックハウス」の問題がクローズアップされています。この問題に着目し、いち早く警鐘を鳴らしてこられたのが、サイコセラピストで住環境研究家の能登春男先生と夫人のあきこ先生です。お二人に、現代の住まいの問題点や健康な住まいづくりの方法についてお話をおうかがいしました。

聞き手 社団法人日本左官業組合連合会 第六代会長   池本 孝

能登春男
あきこ夫妻 
住環境研究家 サイコセラピスト(心理療法家)



能登春男 (のと はるお)「ユーサイキア研究所主宰」「国際トランスパーソナル心理学会会員」「日本ストレス学会会員」「日本臨床環境医学会会員」「室内環境学会会員」「日本住宅会議会員」

能登あきこ(のと あきこ) 「国立公衆衛生院住環境衛生学講師」「国際トランスパーソナル心理学会会員」「日本臨床環境医学会会員」「室内環境学会会員」

1994(平成6)年、新築マンションで心身の不調を体験したのをきっかけに、室内環境汚染の問題に取り組む。96年、夫婦の共著『住まいの複合汚染』(三一書房)出版。大きな反響を呼ぶ。97年『住まいの環境度完全チェック』(情報センター出版局)刊行。他に共同執筆で『住宅白書1998−住まいと健康』(ドメス出版)など。 サイコセラピストとして活躍する一方住環境研究家として住まいと健康問題についての研究・執筆・講演など、啓蒙活動を全国各地で行っている。

不可解な症状が次々と襲う


【池 本】セラピストとして活躍をしておられたお二人が、室内環汚染によるシックハウスの問題に関心を持たれたきっかけからおうかがいしたいと思います。

【春 男】1994年の12月に、新築のマンションに入居したときから、そろって体調が悪くなってしまいました。初めは原因がわかりませんでしたから、「どうして、こんなに体の具合が悪いのか」と不可解でした。私たちは人々の心身を健康に導くことが仕事ですから、当然、自分たちの健康にも人一倍、気を配っていました。それで、自分たちの体に何が起こったのか、少しずつ調べはじめたのがきっかけです。

【あきこ】『住まいの複合汚染』という私たちの本に詳しく書きましたが、不調なんていうなまやさしい状態ではありません。頭痛、腰痛、目がチカチカするといった症状から始まって、視覚異常、聴覚異常、倦怠感、イライラ、皮膚炎、手足の関節痛、次から次へと「これでもか」というほどの症状が襲ってきたのですから。

【春 男】 新築マンションは、当時、私たちが住んでいたところから歩いて10分ぐらいの距離にありました。完成した部屋に初めて入ったとき、ツンとした刺激臭が鼻をつきました。あわてて窓を開け、換気扇を回したのに、たった1時間、そこにいただけで頭痛がしてきました。

【あきこ】その後も、引っ越し準備のため、二人でマンションに出かけたのですが、帰宅してしばらくすると、目がおかしくなって、すべてのものがとても異様に映るんです。そう、まるで古い8ミリ映画のように、小刻みにコマ送りしたみたいに見えました。

【春 男】視覚異常です。私の場合は、部屋の明かりが暗くなったように感じ、最初は電球が古くなったのかと思い、新しく買い替えたりしたほどです。同時に、気分がささくれだって、ささいなことで女房とケンカになり、ガミガミと言い合ってしまうこともしばしばでした。

【あきこ】気分がドーンと落ち込んだり、もの忘れをしたり、私はすっかり治っていたアトピー性皮膚炎までぶり返してしまい、もう何がなんだかわからない状態でした。

複合慢性中毒および化学物質過敏症と診断


【春 男】そんなあるとき、半年ほど前に読んだ新聞記事のことを思い出したのです。壁紙の接着剤が原因で、家族が体調を悪くしたというもので、接着剤に添加されている防カビ剤が有害であると書かれていました。私たちが買ったマンションは浴室以外、すべての部屋の天井と壁にビニールクロスが張られていました。壁紙以外の建材にも原因があるらしいということで、私はそのマンションに使われている資材のメーカーのリストを手に入れ、片っ端から問い合わせてみたのです。そうしたら、判で押したように同じ答えが返ってきました。「昔から使っているもので、そのような苦情は1件もありません」と。それで、どうもおかしいと思ったのです。

【あきこ】公共の消費者センターに問い合わせても、「気のせいじゃないですか」とろくに話も聞いてもらえませんでした。

【春 男】でも、図書館でよく調べてみると、20年ほど前から問題になっていたようでした。しかし、一般の人にはほとんど知られていませんから、病院に行っても各科をたらい回しにされるだけだろうと、最初の1カ月は病院にも行かなかったんです。というのは、下痢になったからと思うと便秘になる、というように症状がコロコロ変わり、夫婦二人の症状も微妙に異なっていたからです。妻はアトピー性皮膚炎、私は口内炎というように、それに「全身どこもかしこもおかしい」なんて訴えても、普通の医者には理解されないだろうと思っていました。

【あきこ】でも、地獄に仏で、そういう専門の病院があると教えられたのです。

【春 男】北里大学医学部の眼科です。そこで診察を受けると、即、「有機リン、ホルムアルデヒト、有機溶剤による複合慢性中毒および化学物質過敏症の併発」と診断されました。

【あきこ】94年6月に松本サリン事件があって、有機リン系の毒ガスが使われたと報道されていましたから、「大変なことになってしまった」と、ゾーッとしました。

【春 男】二人そろって、同じ診断結果が出たということで、原因はやっぱり新しいマンションしか考えられなかったものですから、専門機関にマンションの室内の化学物質を調べてもらうことにしました。横浜国立大学・環境科学研究センターの研究員の方が、吸引機を使って室内各所の空気を収集し、センターに持ち帰られました。それをガスクロマトグラフという高性能の分析機器にかけて調べるのです。その結果、高濃度の有機溶剤とホルムアルデヒドが検出されました。

【池 本】 問題の有機リンは?

【春 男】それなんですが、有機リン系とひと言でいっても、種類が膨大でなかなか特定できないのだそうです。最初、畳に使われている防ダニ加工の農薬が怪しいということで調べたのですが、検出されませんでした。

【あきこ】でも、病院で有機リンの解毒剤を処方されて飲んだら、二人とも症状がとても改善されましたから、検出されないわけがないと思っていました。

【春 男】それで、さらに調べてくださいとお願いしたら、しばらくして連絡がありました。私たちのマンションのビニール壁紙から、難燃性可塑剤のTCEP、TCP、TBPが大量に検出されたと。これらが有機リン系だったのです。


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